2022年2月17日木曜日

American Accent Training 発音コーチおすすめ本!解説、使い方と勉強法

 

American Accent Training

アメリカンアクセントトレーニング

アメリカ人のような英語を話したいあなたへ!

アクセントトレーニングとは、英語を第二言語として学ぶ人が、英語の訛りを軽減し、聞き手にとって理解しやすい発音を目指すためのトレーニングです。特に、アメリカ英語に特化したアクセントトレーニングが「アメリカンアクセントトレーニング」です。

『American Accent Training (Second Edition)』は、アメリカ英語のアクセントを習得するために書かれたトレーニング本です。約30年前に出版されて以来、世界中で高い評価を得ている英語発音教材で、日本でもAmazonで手に入ります。中古本もすぐに売り切れてしまうほどの人気ぶりです。この本は英語で書かれているため、内容を理解し実践するには、ある程度の英語力が必要です。

私がこの本を読んだ感想を一言で言えば、「素晴らしい本です!」これまで私が発見し、常に考えていたことが見事に言語化されており、効果的な練習内容が満載です。本書には膨大な情報量と音声が含まれており、長時間にわたる実践エクササイズが可能です。音声はYouTubeでも聴けます。


多くの人にとって、他の人の話し方を真似するのは簡単なことではありません。しかし、その話し方の特徴を細かく説明してもらえるかどうかで、大きな違いが生まれます。この本は、「アメリカ人の話し方」を真似するために必要なポイントを丁寧に説明しています。読んでいて納得できる面白い点がいくつもありましたので、少しシェアしたいと思います。

まずはじめに、『Read This First』というセクションについてご紹介します。

まずはじめに、Read This First
アクセントとは? What is Accent?

アクセント(なまり)は、大きく分けて次の3つの要素で構成されています。*日本語では「アクセント」という言葉が強勢を意味することが多いですが、英語の「accent」は主に訛りのことを指します。

アクセントには、主に3つの要素が含まれています。

  1. イントネーション(発話の音楽性)

  2. リエゾン(音のつながり)

  3. 発音(母音や子音など)

ジャズスタンダードを学ぶ?

ある程度の年齢を過ぎても、言語のアクセントや訛りを変えることは可能でしょうか?クラシック音楽家がジャズを演奏できるように、練習次第で可能です。この本のテクニックを学び、練習を重ねれば、アメリカ英語のアクセントを習得することができます。その効果は、どれだけ今までの自分の音の習慣から離れ、新しい音を受け入れることができるかに大きく左右されます。

アクセントを使えば、自分の伝えたいことをより効果的に表現することができます。話し言葉の中での強調は、声の調子や感情によってさまざまな意味を持つため、実際には言葉選び自体よりも重要であることが多いのです。

『American Accent Training』は、講義やインタビュー、授業、ビジネス、そして日常生活のコミュニケーションにおいて、あなたが「アメリカ人のように話す」ことをサポートするために書かれた本です。

アメリカには地域によって異なるアクセントがありますが、この本では、多くの教養のあるネイティブスピーカーが話し、理解しているスタンダードなアメリカ英語アクセントを学ぶことができます。スラングっぽい、砕けた英語ではないかと心配する必要はありません。この本で学ぶのは、大学教授やニュースキャスターが話すような、ネイティブスピーカーにとって馴染み深い英語です。

まず、発音に関する一般的な否定的な考え方に触れておきたいと思います。あなたの英語の訛り自体が悪いものではありません。ただ、アメリカ人の耳にはあなたの英語が標準外に聞こえるということです。

こんなジョークがあるくらいです。「三つの言語を話せる人をトライリンガル、二つ話せる人をバイリンガル、一つしか話せない人を何と呼ぶ?― アメリカ人!」

それぞれの言語やアクセントが存在して良いのですが、標準的なアメリカ人にとって標準外のアクセントを持った英語を理解することは難しいのです。中には、アメリカ人同士の日常会話で使われる英語を「教養がなく間違った英語」と考える英語指導者もいますが、実際、アメリカ英語以外の英語はアメリカでは「異国の、奇妙な、間違った英語」と捉えられることが多いのです。

スペルに惑わされてはなりません!
Less Than It Appears… More Than It Appears

英語では、スペルだけでは単語の音節数や母音の数がわからないことがよくあります。スペルが長いにもかかわらず、実際の発音は音が少なかったり、逆にスペルが短くても、実際には隠れた音が含まれていることがあります。これらの事例は、英語学習者にとって混乱のもとですが、言語をより深く理解するための重要なポイントです。

言語の流動性
Language Is Fluent and Fluid

「Read This First」セクションの最後で、著者は言語の流動性について、わかりやすい例えを使って説明しています。

あなたが目をつむって乾いた川底を歩いていると想像してみてください。足が岩にぶつかるたびに、よろけて立ち止まり、また歩き始める。しかし、次の岩にぶつかり、またよろめく。進む速度はとても遅く、歩き方も不安定で、見ていて痛々しいです。

これが、多くの非ネイティブの英語話者が経験する感覚です。

一方で、自分が勢いよく流れる川の水だと想像してみてください。川底の岩に邪魔されることなく、滑らかに流れていく。その感覚こそ、著者があなたに英語を話すときに感じてほしいものです。岩を避けながら、スムーズに、滞りなく流れるような話し方が理想です。

クラシックからジャズへのシフト

話し方の癖を変えることは、まるで車のギアをマニュアルからオートマチックに変えるようなものです。最初は手がシフトレバーに伸び、足がクラッチを踏もうとするでしょう。しかし、しばらくすれば、その必要がなくなり、自然にオートマチックの操作に慣れていきます。

同じように、たとえば「telephone call」を「telephone kohl(コール)」と言ってしまうかもしれませんが、やがて「telephone kahl(カル)」と正しく言えるようになります。(繰り返しの練習と実践が大切です!)

最初のうちは、話し方に通常以上の注意を払う必要があるかもしれません。しかし、運転を覚えたときと同じように、やがて慣れてきて、もっとリラックスしながら他の多くのことに集中できるようになります。

新しい発音やアクセントを学ぶことは、冒険のようなものです。思い切って大げさに発音してみましょう!アメリカ人がそれを聞いて笑うのではないかと心配ですか?安心してください。むしろ、彼らは「やっとちゃんと話せるようになった!」と感謝するでしょう! 

二種類の母音

この本では、母音を大きく二つに分けて説明しています。それは、緊張型の母音と緩んだ母音です。前者は顔や口の筋肉をしっかり使って発音する音で、後者はリラックスした喉を中心に発音する音です。特にこのリラックスした喉からの音が、アメリカ英語の特徴を際立たせています。通常は長母音と短母音に分けられますが、有声音の子音が後に続く場合、短母音でも長さが伸びると説明しています。

発音コーチがお勧めする本の勉強法とアドバイス

この本は、アメリカ人の英語を模倣するための豊富な情報を提供しており、私の発音コーチングでも積極的に取り入れたいと考えています。では、この本をどのように活用できるでしょうか?

この本の内容は、既に英語でのコミュニケーションが可能であるものの、まだ日本語アクセントが強く、それを取り除きたいと考えている上級者向けです。本書を使って、日本語アクセントが聞き手に与える印象を解消することができるでしょう。

私がお勧めするのは、この「トレーニング」を始める前に、まず英語の約45個の音の種類をしっかり学んでおくことです。本書には音節の数え方についての詳細な解説がないため、それも予め理解しておく必要があります。また、会話中での強勢をつける方法を学ぶ前に、単語内での強勢の理解が前提となります。完全にマスターする必要はありませんが、基礎知識をしっかりと押さえておきましょう。

おすすめの練習

個人的に特に重要だと感じたのは、Syllable Count Intonation Patterns です。Exercise 1-22および1-23では、1音節から4音節までの短いイントネーションパターンをどのように当てはめて発音するかを学ぶことができます。驚くことに、1音節内でもイントネーションが存在します。

この練習法は、私のコーチングで使用している方法と似ており、音節とイントネーションの関係を理解するのに役立ちます。2〜4音節の中でどこに強勢をつけるかを理解することで、より長いフレーズでも自然なイントネーションをつける準備が整います。この短いセクションをしっかりと定着させ、さまざまな単語で応用できるようにしましょう。



大げさイントネーション練習法

この本では、1章でまずイントネーションから学び、その後の章で音のつながりや詳細な部分に焦点を当てて微調整を行う構成になっています。後半では、イントネーションが各音素(母音、子音)にどのような影響を与えるかを説明しながら、練習問題が進められています。

イントネーションの練習を行う際には、思いっきり大げさに強勢をつけることが勧められています。まるで誰もこんな話し方はしない、笑われてしまうのではないかと思うほどです。ばかげていると思うかもしれませんが、それでもまだ足りないくらいです。

なぜ大げさに練習する必要があるのでしょうか?それは、疲れたり気が緩んだりした時に、元の喋り方に戻りやすいからです。ゴムバンドのように、もとの話し方に戻ってしまい、イントネーションがなくなってしまうことがあります。そのため、通常の自分のコンフォートゾーンを大きく超えるくらいの練習を行うことで、気が緩んだ時でもちょうど良いアメリカンイントネーションを保つことができるのです。

リエゾンに必要なもの

第2章では、音のつなげ方、つまりリエゾンについて詳しく説明されています。この章では、各音素がどのように他の音とつながり、アメリカ英語特有の音の特徴が形成されるかを学べます。非常に興味深いテクニックが学べるセクションですが、ここで私からの発音コーチングのアドバイスをお伝えしたいと思います。

多くの日本語話者に不足しているのは、咽頭から口腔内にかけての空気圧です。つまり、テクニックだけでなく、息の量が足りていないのです。十分な空気がない状態で音をつなげると、音が薄く、伸びてしまい、リエゾンの効果が損なわれてしまいます。そのため、この章の練習に取り組む際には、しっかりと空気を使うことが重要です。まるで「川の流れ」のように、豊富な息を意識しながら練習問題に取り組んでください。

結局は反復練習です

フォニックス、息づかい、音節など、英語の音の基本をしっかりと築いた後、このトレーニングエクササイズに地道に取り組むことで、あなたの英語はさらに洗練され、「アメリカンサウンド」に近づくことでしょう。難易度の高いTED Talkを自己流でシャドーイングするよりも、効果的にイントネーションの練習ができるはずです。

最も大切なのは、反復練習と日常の話し言葉への適用です。反復練習を通じて、頭を使わずに繰り返すことで、発音の自動化が進みます。ここにこそ、最も時間をかけるべきです。何度も聞いて、何度も真似することが成功への鍵です。また、普段からカタカナ英語を使わないようにし、正しい発音に修正する癖をつけることが大切です。これを習慣化することが求められます。

さらに、自分の声を録音して聞き直し、改善点を見つけることをお勧めします。専門家のトレーナーにフィードバックをもらうことで、改善点をすぐに把握できますが、最終的には自分で発見し、自覚することが最も重要です。あなた個人の癖についての具体的なアドバイスを受けながら、音の違いをしっかりと聞き取れるようにトレーニングすることを目標としましょう。


英語発音アクセントコーチ 久米ひろみ

英語を使うプロフェッショナルのための発音コーチング
アメリカ英語イントネーションに特化

聞く人を魅了できる英語発音講座








To Be Continued…(つづきをお楽しみに!)

この本の続きの内容についてはまた書きたいと思います。1章と2章だけでも、さらにシェアしたい事がまだたくさんあります。

英語に関する情報は日本語でも数えきれないほど出回っていますが、英語上級者でさらにアメリカ発音を極めたいと思っている方は英語で情報を吸収することを強くお勧めします。

と言っても、日本語の説明や解説が必要な方がいるかと思い、この記事を書いてみました。お役に立てれば幸いです。

この本を使って練習しようと試みたにも関わらず、疑問点にぶつかってしまった方いらっしゃいますか?質問なんでも承ります。さらに、英語上級者または英語指導者の方で、このトレーニング教材を使って、本格的な発音イントネーションコーチングをお望みの方、ご相談にのります。どうぞお気軽にお声掛けください。

American Accent Training 発音コーチおすすめ本!解説、使い方と勉強法 後編



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